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PRP療法 肘 再生医療 [再生医療]

<自分の細胞の移植だから安心?>

前の記事に上げた、田中将大投手の肘の治療に用いられたPRP療法

Platelet-rich plasma(血小板の濃い血漿)の略でPRPということで、自分の血液を採取して、遠心分離器にかけて、血症の一部(赤血球が沈殿した残りの黄色い液体)の血小板が多く含まれているところを吸い取って注入するというものだ。

ここには血小板がたくさん含まれているので、血小板が産生する増殖因子も様々なものが含まれている。

PDGF platelet-derived growth factor
TGFβ transforming growth factor beta
FGF fibroblast growth factor
IGF1 insulin-like growth factor 1
IGF2 insulin-like growth factor 2
VEGF vascular endothelial growth factor
EGF epidermal growth factor
IL8 Interleukin 8
KGF keratinocyte growth factor
CTGF connective tissue growth factor

少なくとも上に上げたようなものが含まれていることが報告されている。

ちゃんと科学的に評価された査読誌に載っている研究だ。

小保方さんの学位論文とか取り下げられたNATUREの論文とかいう危うさはない。


以上の増殖因子のどれがどこにどう効いているのかということは、人間の体では詳細にはわからないだろう。

しかし、有効であることは明らかである。

肘の炎症やひざの炎症部位にこれを注入することで、回復が、何もしない場合の半分くらいの時間で進むことが報告されている。

速やかに戦列復帰したいスポーツ選手にしてみればありがたい治療法だ。


<肌の老化やしわ、たるみの改善にも有効か?>


その一方で、このPRP療法はしわやたるみなどの肌の老化の改善に効果的なのではないかとしても注目されてきた。

実際に美容形成外科のホームページなどでは詳しく報告されている。

PRPの注入前後でのほうれい線やしみの劇的な変化について画像付きで



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PRP療法はでも、夢の治療法というわけではない。

上に上げたように、ひじやひざなどの炎症を治し、すみやかに再生させる体の持つ治癒スピードを上げさせることができる方法だ。

しかし、それ単独が万能の若返り療法というわけではない


これはあくまでも、組織の再生、創傷治癒を手助けする補助的な療法である。

だから、若返りの目的で使用する場合でも、レーザー療法とかマッサージとか、そういう皮膚組織の再生を促すような治療法に組み合わせた時に効果を発揮するものだ。

レーザーでのシミやたるみの改善に、2か月かかっていたところを1か月で済ませられる。

そういうたぐいの治療法であると考えておくとよい。


それを納得した上で施術を受けるのであれば、比較的安全で納得のできる美容形成術の一つではないだろうか。
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肝臓移植の「改善」につながるのか?過冷却保存技術 [再生医療]

肝臓移植の福音となりうるとして論文が報告された。

肝臓を取り出しあたと、最長で96時間も保存しておいてから移植しても生着可能であるという話だ。




肝臓は巨大な臓器であり、血流も豊富だ。

つまり、体外に取り出した場合には

巨大であるがゆえに温度管理が難しく
血流が豊富であるが故に、それが途絶えた時に細胞が傷みやすい

そういう特性を持つ臓器である。


だから、これまでの常識では肝臓移植は数時間以内、目一杯引っ張っても12時間以内に血管をつないで血液を再び流してやることが生着の必須条件だった。

このために、腎臓で行われているような、摘出臓器を遠く離れた病院まで届けるということはなされてこなかった。


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日本で生体肝移植が進んだ理由のひとつもそれだ。

もちろん、臓器移植ドナーの問題でなかなか脳死患者からの肝臓移植ができなかったのでやむを得ず、という側面もあったが、いつどこで出るかわからない脳死肝臓を待つよりは、家族の肝臓の一部を切り取ったほうが良いというわけだ。

そのぐらい、肝臓移植というのは時間のハードルが高い移植技術だった。

そのこともあり、iPS細胞から肝臓細胞を作って秘蔵などの別の臓器に移植することも考えられているくらいだ。


ということで、今回のニュース、今後の移植医療への応用が期待できる。

問題は、この技術に用いられる肝臓保存液だ。

ラットでの短期間の移植後の観察では問題ないが、人間で今後どうなのか、これからアカゲザルなどを用いた動物実験が更に進められていく必要性があるだろう。




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iPS細胞の実用化で薬の副作用の評価が簡単になる [再生医療]


<薬の作用はどうすれば見ることができるのか>


毎日毎日、世界中で膨大な数の物質が、新薬として使用できないかどうか研究されている。

その実用性は0.03%だと言われる。

3,000種類の物質を調べてみて、一つが薬として成功するかどうかという、低い確率だ。


でも、これらの薬が成功に結びつかないいくつかの要因がある


1.薬の作用を試験管内の細胞でまず調べるのだが、これに用いられる細胞は試験管内の培養条件に適応しているために人間の体の中とは異なる反応を示す場合が多い。

2.細胞研究でうまくって、次に個体研究では動物を使う。でも、動物実験でうまくいっても、動物と人間では薬への反応が違うことが多い。


ここまでの段階でかなりの薬が振り落される。

そして次の段階もある。


3.動物実験で問題ないとなり、人間のボランティアなどを用いての臨床実験が始まる。これをパスしたら市場に出る。

けれども、数万人に一人の特異体質の人に発生してしまう重篤な副作用はこの臨床試験でもわからない。


でも、ジェンナーの時代のような荒削りな臨床実験は絶対にできない。

Melingue_Jenner.jpg

これらの問題を乗り越えることができるかもしれないのがiPS細胞を使った研究である。


==引用==

開発中の薬の副作用、iPS細胞で検査

読売新聞 6月29日(日)11時47分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140628-00050160-yom-sci

 政府は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、開発中の医薬品が心臓に起こす副作用をチェックする技術の開発を本格化させる。

 人間を対象にした薬の試験を細胞に替え、薬の開発費の削減や再生医療産業の振興につなげる狙いがある。2016年度までにオールジャパン体制で新技術を確立し、国際的な薬の審査基準に反映させたい考えだ。

 医薬品が販売中止となる理由では、不整脈など心臓の副作用が最多だ。製薬会社は販売前に、動物や人間で副作用の検出試験を行っているが、動物では薬に対する反応が人と異なり、被験者には副作用のリスクが伴う、という課題がある。

 新技術は、心臓の筋肉(心筋)の細胞を人のiPS細胞から作り、開発中の薬を投与して心臓の働きに異常が起きないかを調べる手法だ。今回、実際の人とほぼ同じ特性を持つ心筋細胞を作り、製薬会社が開発の序盤で薬の副作用を見つけ、動物や被験者の試験をせずに済むようにする。

==引用==


<iPS細胞のライブラリが新薬開発に貢献する。>


実際に、稀に起こる副作用というのは数万人に一人の頻度で起こるようなものである。

これは、事前の臨床検査(数千人規模)で、運よくそういう人が複数含まれない限り(含まれた人は運が悪いが)、わかりようがない。

市場に出て、販売されて初めてこれがわかる。


これを、30万人程度から髪の毛や血液などをいただき、そこに含まれる細胞をもとにiPS細胞のライブラリを作ることができれば、30万種類の様々な遺伝子配列を持つ細胞の反応を見ることができる。

これにより、市場に出てから起こるトラブルを回避することができる。


また、多分化能を持つ細胞であるiPS細胞から作ったさまざまな臓器の細胞は、長期培養されたものではなくてできたばかりのものであるから、より生体に近い反応が期待できる。

日本人30万人分でライブラリを作ることができれば、かなりたくさんの薬の開発効率が上がるし、市場に出てから問題が起こって開発費を棒に振るという危険性も少なくなる。

そうすれば、今よりももっと多くの物質について、それが新薬となりうるかどうかの開発ができるのである。


そういうことを考えると、大人の髪の毛の毛根の細胞や血液の白血球から作ることのできるiPS細胞の可能性というのは実に大きなものであることがわかる。



ま、それでもかなりの金はかかるのだが。

その意味では、安価にできる技術であるとしてSTAP細胞への期待はものすごく大きかった。

それが全くのねつ造であったことで、医療・製薬関係者の落胆と怒りはものすごいものがあるのだ。


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